臨終とは【About Deathbed】
身内が不幸にして重体・危篤になったら、家族は最期のお別れのために、さまざまなことをスムーズに行わなければなりません。
まずは電話などできるだけ早く近親者に連絡をとります。本人が会いたいと思われる人にも知らせて、後々後悔しないようにすることに努めましょう。
末期の水【End of age water】
医師から「ご臨終です」という宣告を受けたら、家族や近親者は、「末期(まつご)の水」という死に水を含ませてあげます。
最期の会食をせめて水でもという気持ちから末期の水となったと言われています。
息をひきとった後、新しい筆か割箸(わりばし)の先に脱脂綿(だっしめん)かガーゼを巻き付け、白い木綿の糸でしばり、茶碗に水を注いだところに浸し、故人の上唇か下唇のどちらかを軽く湿らせます。
末期の水をとる順番は、臨終に立ち会った人の中で、血のつながりが濃い肉親からはじめます。一般には、配偶者、子、故人の両親、兄弟姉妹、子の配偶者、孫の順番です。
遺体を清める【Purify the body】
死亡が確認されたら、遺体を清めます。
この習慣は、汚れを落とし、清浄な体であの世に送りとどけるという意味で、古くは斎川浴(ゆかわあみ)という川の水で斎み清めたことから、湯で洗うようになりました。
逆(さか)さ水といって、たらいに水を先に入れ湯をあとから入れたぬるま湯で、身内のものが故人の全身を洗い清めるならわしでしたが、最近ではガーゼや脱脂綿にアルコールを浸してふきます。
その後、耳、鼻、口、肛門などに老廃物が流れ出ないように脱脂綿をつめます。病院ではこれらのことは看護婦がしてくれます。
また、目や口が開いたままでしたら、遺族は個人のまぶたを軽くなでるようにして閉ざし、口は下からあごを持ち上げるようにして支えて閉じます。
男性なら髭をそり、女性には薄く口紅をしておしろいをはたく程度の薄化粧をします。死化粧はできるだけ肉親の手でおこないます。
遺体を安置する【To keep the corpse】
死化粧まですみましたら、まくら直しといって、故人を逆さ布団の上で北枕に寝かします。
北枕はお釈迦様が涅槃(ねはん)に入られたときの頭を北にして右脇を下にした「獅子臥せ」の姿にあやかったものと言われています。
遺体を寝かせる布団のシーツやカバーは、新しくとりかえます。
顔の上には白木綿をかけ、手を胸の上で合掌させ、数珠をかけます。
枕飾り【Pillow decoration】
遺体を安置した後、遺体の枕元に白木の台または白布をかけた小机を用意します。
その上に樒(しきみ)の枝か花を1本さした花立、線香を1本たてた香炉、1本ロウソクの燭台、水を入れたコップ、故人が使っていた茶碗にご飯を丸く山盛りにして真ん中に箸をそろえて立てた一膳飯、上新粉で作った枕団子6個を盛ったものや、鈴(りん)などを飾ります。
また、守り刀は、旅路を危害にあわずに守ってくれる意味で胸元に置きます。刃は、故人の顔に向かないようにします。
逆さ屏風も用意することがありますが、屏風を逆さに立て、外から遺体が直接見えないようとの配慮です。
これらの一部の仏具は葬儀社で用意してくれます。
枕づとめ【Pillow Dzutome】
死亡した当日の夜、枕飾りを整えたら、僧侶を招いて故人の枕元で最初を読経(どきょう)をしてもらいます。
これを枕経(まくらぎょう)といい、故人を仏の御座(みざ)に送るためのものです。仮通夜ともいいます。
遺族、近親者が遺体のそばに立ち会い、心から故人の冥福をお祈りします。
僧侶は読経ののちすぐに辞去しますので、食事の用意をする必要はなく、謝礼も通夜や葬儀のものとまとめてかまいませんが、地方のしきたりにより異なりますのであらかじめ確認が必要です。
死亡直後に連絡すべきは、親せきや親しい友人などのほかに、菩提寺があればすぐに連絡したほうが良いでしょう。
葬儀社が決まっていない場合は、葬儀社を探して、葬儀の日程や段取りを取り付ける必要があります。
菩提寺がない場合でも葬儀社に相談すれば、相談に応じてくれます。